猫からの感染で人が亡くなった・・・というニュースで注目を集めた「コリネバクテリウム・ウルセラレス」。コリネバクテリウム・ウルセラレスはあまり聞きなれないかもしれません。ですが、動物を扱うお仕事をされている方々や、以前から犬や猫などをペットととして飼われていたとう方ならご存知の方は多いと思いますが、犬や猫などのペットから人間に感染する病気もなかにはあります。
そこで、この記事ではペットから人間に感染する病気「人畜感染症」について書いてみたいと思います。
※『コリネバクテリウム・ウルセラレス』については
⇒コリネバクテリウム・ウルセラレスに関するQ&A(厚生労働省)
主な「人畜感染症」
有名な感染症では、小鳥などから感染する「オウム病」などの「人畜感染症」もありますが、ここでは主に犬猫から人間に感染するおそれのある病気をいくつか挙げてみます。
- 猫ひっかき病
- かいせん
- トキソプラズマ症
- サルモネラ症
- カンピロバクター症
- 皮膚糸状菌症
- 狂犬病
- 結核
- クリプトコッカス症
などが主に犬や猫から感染する「人畜感染症」です。他にもノミやダニ、シラミが原因の「ノミアレルギー性皮膚疾患」「シラミ感染症」「ブルセラ症」などもあります。
猫ひっかき病
- 感染する主な動物:猫
- 動物の主な症状:多くは無症状
- 主な感染経路:猫に引っかかれる・噛まれる
- 人に出る主な症状:発熱・リンパ節腫大など
- 予防方法:ノミの駆除・爪切り
かいせん
- 感染する主な動物:犬・猫
- 動物の主な症状:脱毛・皮膚炎など
- 主な感染経路:感染した動物との接触
- 人に出る主な症状:皮膚の発疹・かゆみなど
- 予防方法:感染動物との接触に注意する
トキソプラズマ症
- 感染する主な動物:猫
- 動物の主な症状:下痢・脳障害など
- 主な感染経路:感染した猫のうんちを触った手⇒口に入る
- 人に出る主な症状:妊娠中の場合、流産・死産の可能性
- 予防方法:猫のうんちの処理方法の徹底
サルモネラ症
- 感染する主な動物:犬・猫・爬虫類
- 動物の主な症状:下痢など
- 主な感染経路:感染した動物のうんちを触った手⇒口に入る
- 人に出る主な症状:下痢・嘔吐・胃腸炎など
- 予防方法:動物のうんちの処理方法の徹底
カンピロバクター症
- 感染する主な動物:犬・猫・小鳥
- 動物の主な症状:多くは無症状
- 主な感染経路:感染した動物のうんちを触った手⇒口に入る
- 人に出る主な症状:下痢・嘔吐・胃腸炎など
- 予防方法:動物のうんちの処理方法の徹底
皮膚糸状菌症
- 感染する主な動物:犬・猫
- 動物の主な症状:脱毛・皮膚炎など
- 主な感染経路:感染した動物との接触
- 人に出る主な症状:発疹・皮膚炎など
- 予防方法:感染動物との接触に注意する
狂犬病
- 感染する主な動物:犬・猫などの哺乳類
- 動物の主な症状:興奮・声の変化・脳炎(発症すると死に至る)
- 主な感染経路:感染した動物に噛まれる
- 人に出る主な症状:神経症状・脳炎(発症すると死に至る)
- 予防方法:犬の場合はワクチン接種が義務付けられている
結核
- 感染する主な動物:犬・猫・小鳥・うさぎなど
- 動物の主な症状:下痢(多くは無症状)
- 主な感染経路:感染した動物との接触
- 人に出る主な症状:発熱・下痢・敗血症など
- 予防方法:感染した動物との接触を避ける
クリプトコッカス症
- 感染する主な動物:犬・猫
- 動物の主な症状:副鼻腔炎・中枢神経障害など
- 主な感染経路:うんちの中の細菌⇒ほこりと一緒に口に入るなど
- 人に出る主な症状:発熱・咳・中枢神経障害など
- 予防方法:トイレ掃除・生活環境を清潔に保つ
ペットから人間に感染する病気も!(人畜感染症) ~まとめ~
以上のように、犬や猫などのペットから人間に感染する病気もなかにはあります。ですが、だからといって極端なまでにペットを怖がる必要はありません。大切なのは「ペットから人間に感染する病気もある」と知っておくことです。
仮にペットから何かしらの病気に感染したとしても、必ずしも症状が現れたり、重症化するわけではありません。たとえば、同じ場所に居たのに風邪をひいてしまう人とそうでない人がいたり、また、風邪をひいてしまったとしても軽い症状だけで済む人と、こじらせてしまう人がいるように。
ただ、免疫力の弱い小さなお子さんや、免疫力の落ちてきている高齢の方、また、何かしらの病気を患っているなどという場合は、念のために、いわゆる「健康な大人」よりは注意しておいたほうがいいでしょう。
猫の場合なら、トイレ掃除(おしっこ・うんちの処理)のときは「マスクをする⇒石鹸で手洗い」、またペットと触れ合った後にも必ず石鹸で手洗いをする習慣をつけておきたいものです。必要以上にペットから人間に感染する病気を恐れずに、日頃から室内を清潔に衛生的に保ち、手洗いの習慣をつけるようにしておきましょう。
飼っているペットに「もしかしたら病気かも?」と何かしらの症状を発見したら、なるべく早く動物病院へ連れていき獣医師の診察を受けるようにしましょう。
また、飼い主さんもご自身やご家族に何かしらの症状が現れた場合、早めに病院へ行き診察を受けるようにしましょう。その際に「ペットを飼っている」と医師に伝えてみる(医師から尋ねられることも多い)といいかもしれません。
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